【AE】Xeon機でAfterEffectsってどうなの?

みんなの憧れのCPU、Xeonに関しての記事です。
以前から要望が多かったので、今回情報の共有をしていこうと思います。

Xeonというのは、Intel製のCPUで、サーバーなどの用途に使われている、安定性を重視した製品です。

色々な映像制作の現場でもXeonを搭載したワークステーションが導入されている話を耳にしますが、そのパフォーマンスに関して報告されている記事があまり無いらしく、実際のところどうなのか、よく質問されます。

僕は個人的にXeon機を使用し、AfterEffectsで作業をしていた時期もあるため、今日はその時の奮闘の末に得た知見や結論などを共有していこうと思います✌('ω')

記事の概要です。
 1.AfterEffects用途としては、まるで使えない。
 2.レンダリングサーバーとしての運用は・・・
 3.結論

今回は本筋の内容を分かりやすく伝えるため、「スレッド」と書くべき箇所を「コア」と表記して同じ扱いにして説明しています。
違いについて知りたい方は、「ハイパースレッディング」でググってください。





1.AfterEffects用途としては、まるで使えない。
Xeonも色々な種類がありますが、よく見かけるのは「多コア低クロック」構成のものです。
このCPU、もともとサーバー用途である以上、複数の処理を同時に行う事に特化する必要があるため、コアの数が多い製品が多いんですね。(もちろん4コア・6コアで高クロックな製品も存在していますが、今回は除外します)

AfterEffectsは基本的に「シングルコア」で動くアプリケーションで、CPUの中の1コアしか使えないというのが特徴です。
例えば、24コアのXeonでAfterEffectsを動かした場合、24個あるコアのうち1個しか処理に使えないわけですから、本来のパワーの1/24しか発揮できていないという事になります。
もうこの時点で非効率の極みです。

しかし、AE CC2014以前のバージョンには、複数のコアを使ってレンダリングする設定があります。
僕もそれに希望を持ち、色々調べてはみましたが、結論から言うとダメでした

AEの複数コアを使用したレンダリング・およびプレビューにはクセがあり、レンダリング・プレビュー前にコア同士の同期処理らしき時間が発生します。使用するコア数が多ければ多いほど、この同期時間が長くなり、僕の使用していた環境では10分経ってもレンダリングが始まらない、というケースもありました。

レンダリングだけならまだしも、こまめな確認が必要となるプレビューまでこんなに同期時間を取られていたら制作なんてできません。ですので、プレビューはシングルコアで行う設定を推奨しますが、そうすると本来のパワーの1/24のパワーでしか処理が行われないという悲惨な状況になります。



2.レンダリングサーバーとしての運用は・・・
AfterEffectsは、特定のフォルダを監視させて、AEPが放り込まれると自動的にレンダリングを開始する、という使い方ができます。

この機能を使う事で、編集で力が発揮できずともレンダリングのみを行うマシンとして運用する事で恩恵を得られる可能性があります。<以前の研究結果>からわかるように、Xeon機でのマルチコアレンダリングは強力です。

Xeon機でAfterEffectsを運用するのであれば、現実的にはこの用途でしか難しいというのが僕の結論です。

しかし、この運用方法にもデメリットがあるので、そちらもご紹介します。


デメリット1 使っているプラグインやフォントが必要
レンダリングサーバーに使っているプラグインやフォントがインストールされていないなど、プロジェクトを開いた時にエラーが出る状態だとレンダリングが開始されません
購入しているものであれば、1台につきもう1ライセンスずつ購入する必要が出てきます。


デメリット2 レンダリングできる形式は連番のみ
動画の出力ができないため、最終のレンダリングには使えません。


デメリット3 電気代がかさむ
これはXeon機を常時起動して稼働させる場合ですが、待機しているだけでもなかなか電気代がかさみます。
僕の環境ですと、何もしていなくても常時108W~123Wをウロウロするので、使っていないとかなりの無駄になりそうです。(まな板運用+HDD1台構成、GPUなしなので、実際はもう少し増えるはず)



デメリット4 恩恵を得られるのはCC2014以前まで
Adobe公式によると、最新版のWindowsおよびMacでは、過去のAfterEffectsは公式対応しないようです。

CC2014以前のAfterEffectsを扱う上で、OSの問題は避けて通れません。
AfterEffects本体だけでなく、最新版のプラグインもどんどん過去のバージョンを切り捨てています。



3.結論
結論としては、AfterEffectsとXeonの相性が悪すぎる。
時代の流れから見てもAfterEffectsのバージョンの問題で、Xeon機を使用するという選択肢はどんどん少なくなりそうです。

レンダリングサーバーとしての運用は、作業効率で言うとレンダリングを任せられる分、1人あたりの作業効率は高くなると思いますが、レンダリングだけのために賞味期限付きの投資をするかというと、なかなか難しいのではないかなと思います。

そろそろ自宅のXeon機を手放そうと思っていますが、どうしたものか・・・。
興味のある方がいらっしゃればご連絡ください✌('ω')

コメント